唇の皮を剥きすぎて血が滲む
指の皮はもう剥けるところがなくなった
わたしが得た物はなにもない
アインシュタインがプリントされたTシャツを買う
夏になれば外に出るなんてとんだ妄想
わたしが失った物はたくさんある
穴を埋めようとして
たくさん喋りすぎてしまった
山の上に
人影がある
あぁ
だからわたしは
この悲しみの矢の上を歩いているんだと
理解する
影は影で
顔も見えない
彼らが降らせた矢の雨が
止むことなどないのだろう
だからわたしは
いつまでもこの丘陵を歩く
足が痛むかって?
物理的痛みなどたいしたことはない
心が折れたかって?
そこに、ズタボロの心臓が転がっている
それがわたしのものなんだろう
知っている
傷を塞ごうとして
眠りすぎてしまった
あの人影は
わたしを赦さない
そしてわたしは、それを受容する
感傷ではない
ただ
わたしの足元が柔らかい芝生ではないのなら
そこを歩くしかないのだ
足の裏は
いくらか強くなるんだろう
それでも血を流して
わたしは行く
わたしは知っている
それに
終わりなどないことを
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